「帰国子女でなくとも、仕事で使う英語は何とかなる。専門用語でわからない言葉はないし、内容について見当もつくので、特に困りはしない。でも、ドラマや洋画を英語で解するというのは、英語検定一級やTOEIC九〇〇点のはるか先にある高いレベル。帰国子女でないとむずかしい。とりわけ、聴き取り能力がネックになる。だから、仕事以外の話題が飛び出すパーティが苦手な日本人が依然として多いというわけさ」
すなわち、英語学習には帰国子女でないと越えがたい壁がある、ということである。
非帰国子女で、学生時代から努力を重ねて英語の使い手となった人ほど、はっきりと言う。「帰国子女でない限り、リスニング能力を大人になってから高めるのは非常に困難である」と。
2005.04.04[フィナンシャル ジャパン] FJ2月号> 私の「幼児英語教育」事始めより引用
私の場合はTOEIC 900点はまぐれだと思いますが、それでもTOEIC 860点以上は取れている者の端くれとして、木村氏の意見に強く同意できます。
木村氏はこうも続けます。
これには科学的な根拠もある。全くの門外漢なりに幾つかの書籍に当たってみると、脳の発達と言語の習得に関する研究からは、次のようなことが概ねわかっているらしい。われわれの脳は乳幼児の段階で爆発的な成長を遂げる。その成長期に、LやRの音を繰り返し聞かせてやると、LとRは違う音であるということを容易に認識するように脳は成長する。LaとRaの音を聞いたときの脳――正確には聴覚を司る大脳皮質(auditory cortex)―――の反応を調査すると、英語圏の人の場合は、聴覚を司る大脳皮質の中でもかなり距離の離れた箇所がおのおの反応するのに対し、帰国子女でない日本人の場合はかなり近い場所が反応する。要するに、日本語ではあまり区別をつけないが、英語圏では明確に異なっていると認識される音、LとR、VとBを乳幼児の頃に聴いたか否かが重要だということだ。
2005.04.04[フィナンシャル ジャパン] FJ2月号> 私の「幼児英語教育」事始めより引用
これは良く言われる話です。脳には右脳と左脳がありますが、一般には言語は左脳で判断されると言います。右脳は音楽や芸術などのイメージを処理する脳であり、日本語では右脳はあまり使われないそうです。一方、英語の場合、左脳で文法などは処理されるそうですが、英語のヒアリングは主に右脳で処理されるそうです。この右脳と左脳のバランスの良い動作が幼児期までに身についていないとLとRやBとVなどの違いを聞き取れないようです。
TOEICではPart Iでこの発音の似た単語の聞き取りを試す問題が良く出されます。たとえば、mouseとmouthやbaseとvaseなどです。このような単語はこの単語だけを続けて聞くことができれば、違いを区別することは可能かもしれません。しかし、木村氏の言うように、幼児期に英語の発音に親しんだ経験がなかったり、帰国子女でもなかったら、なかなか普通はできません。
幸いなことにTOEICのPart Iでは、発音の違いだけでなく、通常はもう1つヒントのようなものが隠されており、たとえ発音の区別が付かなかったとしても回答できるようになっています。ただ、もちろんきちんと発音の区別が付いたら、もっと確実に、また自信を持ってPart Iを回答することができるでしょう。
RとLのような日本人にとって聞き分けにくい単語を聞き取れるかの実験がATRで行われています。ATRインターネット公開実験でプログラムをダウンロードして実行することでテストを行うことができます。皆さんも試してみられてはいかがでしょうか?
また、ECC 今日の3秒リスニングでは毎日似た発音の単語の聞き分けテストが行われています。これはRSSフィードで配信されていますので、RSSアグリゲーター/RSSリーダーを用意すれば、毎日その配信を受けることができます。RSSを使った英語学習法は以下の日記をご覧ください。
・SharpReader−.NETベースのRSSアグリゲーター
・RSSアグリゲーターを使った英語学習法
・RSSアグリゲーター/リーダーでニュース拾い読み
いずれにしろ、LとRやBとVなどの一般の日本人にとっての微妙な発音の違いを区別できるようになるには、大人になってからはかなりの努力がいるようです。
残念ながら、今回の日記には大人になってからどのようにその能力を身に着けるかの解決策は書けません。なぜなら、私もまだ解決できていないからです (^^;;;;;
TOEIC Part Iで発音のひっかけがあった場合は、発音以外のヒントの部分を活用して、どうにか正解にたどり着いています。
大人になってから英語を正しく聞き分けるための能力を身に着ける何か良い方法はないものでしょうか。地道にヒアリングと音読を繰り返すしかないのかなとは思っています。
【関連する記事】